当科の紹介
教授挨拶・対談
教授プロフィール

内山 温
教授・診療科長
Atsushi Uchiyama M.D., Ph.D.
[略歴]
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岐阜県出身
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1990年:岐阜大学医学部卒
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1995年:岐阜大学大学院医学研究科博士課程修了
[専門分野]
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周産期・新生児医学
[資格]
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日本小児科学会専門医・認定小児科指導医
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日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門 医・指導医

教授
山田 佳之
Yoshiyuki Yamada M.D., Ph.D.
[略歴]
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京都府出身
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1995年:関西医科大学卒
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2003年:秋田大学大学院医学研究科修了
[専門分野]
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小児科学、アレルギー学、臨床検査、感染制御
[資格]
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日本小児科学会専門医・認定小児科指導医
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日本臨床検査医学会臨床検査専門医・管理医
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日本アレルギー学会専門医・指導医
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インフェクションコントロールドクター
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臨床研修指導医

教授
山本 将平
Shohei Yamamoto M.D., Ph.D.
[略歴]
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千葉県出身
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2000年:昭和医科大学卒
[専門分野]
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小児血液腫瘍疾患
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造血幹細胞移植
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造血不全症
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AYA世代小児がん
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先天性代謝異常症に対する造血幹細胞移植
[資格]
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日本小児科学会専門医・認定小児科指導医
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日本小児血液・がん学会専門医・指導医
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日本血液学会専門医・指導医
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日本造血・免疫細胞療法学会移植認定医
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日本輸血・細胞治療学会輸血認定医
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日本輸血・細胞治療学会細胞治療認定管理士
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がん治療認定医
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日本血栓止血学会認定医
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臨床研修指導医
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英語診療可能
教授対談(所信表明)
東海大学病院小児科が、地域医療の中で担っている役割についてお聞かせください。

(内山教授)当院は神奈川県西部の湘南・西湘地区を主な診療圏としています。この地域で、総合周産期母子医療センターとしてハイリスク新生児の診療に対応できる施設は当院のみです。出生率の低下が進む中、周産期医療の集約化は避けられない流れであり、そうした状況において当院が担う役割は、今後ますます大きくなっていくと考えています。
2025年4月にはNICUを12床から14床へ増床し、それに伴い入院患者数も増加しました。地域の医療機関と連携しながら、ハイリスク症例や重症例を確実に受け入れられる体制を強化できたことは、地域医療への貢献という点でも大きな意義があると感じています。
(山本教授)少子化が進む中、小児がん診療においても今後さらなる集約化が進むと見込まれます。人口約920万人の神奈川県において、小児がん診療を担える施設は3施設程度に限られています。その中で、当院が確実にその一翼を担い続けることは、私たちに課せられた重要な使命の一つです。


(山田教授)この地域は三次医療機関が多いエリアではなく、小児医療についても地域全体で支えていく体制づくりが求められています。そのためには、各医療機関がそれぞれの役割を明確にし、相互に理解を深めながら連携していくことが不可欠です。当院ではこれまで、専門領域にとどまらず、地域の重症小児患者さんを幅広く受け入れてきました。今後はこうした取り組みを、より体系的に、関連病院や地域の先生方と連携しながら進めていく必要があります。
また、医療へのアクセスが容易な時代だからこそ、患者さんやご家族にも医療の役割分担を理解していただき、「賢い受診の仕方」を知ってもらうことが、地域医療への重要な貢献につながります。こうした啓発も含め 、地域全体を支える医療のかたちを着実に築いていきたいと考えています。このような地域医療の視点は、将来開業を目指す医師にとっても大切な学びになるはずです。
先進的な医療への取り組みについてお聞かせください。
(山本教授)私は小児がんを専門としています。当院は造血細胞移植の分野において、日本国内でもトップクラスの小児科施設の一つとして高い評価を受けており、全国各地から患者さんの紹介を受け入れています。ムコ多糖症をはじめとする代謝性疾患や造血不全などの希少疾患に対しても、当院では早くから造血細胞移植に取り組んできました。これらの疾患の中には、移植が困難である症例も少なくありませんが、当院ではそうした症例に対しても積極的に治療を行っています。特に、ムコ多糖症や副腎白質ジストロフィーに対する造血細胞移植の実績は国内最多を誇り、長年にわたり蓄積してきた豊富な知識と経験は、当科の大きな強みとなっています。


(山田教授)私は長年、消化管アレルギー疾患の臨床および研究に取り組んできました。近年では、乳児期後半に卵黄を摂取した後の嘔吐を主症状とする、従来あまり見られなかったタイプの食物アレルギーが増加しています。
こう した疾患は診断や対応が難しい側面もありますが、当院では食物負荷試験を含めた専門的な診療体制を整えています。さらに、新たな治療法の確立を目指し、本学が中心となって全国の小児科と連携した研究にも取り組んでいます。従来の食物アレルギー診療にとどまらず、新しい病態にも対応できている点は当科ならではの特長です。
(内山教授)私は新生児医療を専門としています。当院では新生児科を独立した診療科として設けるのではなく、小児科の中に新生児チームを位置づける体制をとっています。そのため、低出生体重児や早産児の診療にとどまらず、新生児期から小児期にまたがる多様な疾患についても、より包括的な視点で対応することが可能です。新生児チームだけでは対応が難しい症例に対しても、循環器、血液、アレルギーなど各専門分野の小児科医と日常的に相談できる環境が整っており、こうした連携が診療の質の向上につながっています。

今後の展望や、今後取り組んでいきたい課題について教えてください。

(山本教授)小児がん治療は、臨床試験に基づく標準治療の確立が基本です。当院でもその実践を着実に積み重ねてきましたが、今後はそれにとどまらず、より良い標準治療を「つくる側」として新たな臨床試験の策定に積極的に関わり、診療をリードしていく 姿勢と人材育成が重要になります。
また、希少疾患の分野では、日本未承認薬や保険適用外薬剤が治療の課題となることも少なくありません。そうした薬剤をいかに早く患者さんに届けられるかは、非常に重要なテーマです。新薬の保険収載に向けた臨床面・制度面の取り組みにも積極的に関与し、現場から継続的に発信していくことが、私たちに求められている役割だと考えています。
(山田教授)近年、消化管アレルギー疾患は増加していますが、現時点では確立した治療法がなく、自然軽快を待たざるを得ないケースも少なくありません。そこで当科では、新たな治療法の確立を目指して臨床研究を立ち上げました。
さらに、その成果を基礎研究へと還元し、病態の本質に迫る取り組みにも力を入れています。現在はプロテオーム解析による網羅的解析を進めており、新たなバイオマーカーの探索や病態解明につながる成果が見え始めています。こうした研究と診療の両輪を通じて、当科が本分野の発展に貢献できればと考えております。

教育・人材育成についてのお考えをお聞かせください。

(山本教授)当院では、国内留学をはじめとした院外研修を積極的に推進しています。院内だけで自 身の経験を完結させるのではなく、さまざまな施設で培った知識や技術を持ち帰り、東海大学における日々の診療に還元してもらうことを大切にしています。こうした人材育成の方針は、若い医師や、これから専門性を高めていく先生方にとって、当科の大きな魅力となっています。
(山田教授)教育の観点からも、研究への関わりは非常に重要です。将来、開業を含めた臨床の道を考えている医師にとっても、基礎研究の経験は大きな財産になります。新しい知見や治療法が報告された際に、その背景や根拠を理解する力につながるからです。研究は決して特別なものではなく、臨床医にとっても楽しさがあり、将来の診療を支える重要な基盤になると実感しています。
また、大学病院ならではの利点として、成人医療の最前線と日常的に接点を持てる点が挙げられます。内科や外科で導入されている新しい検査法や診断指標を小児医療に応用できることは、教育・診療の両面において大きな価値があります。加えて、医療倫理に関する教育や議論が充実している点も、大学病院の大きな強みです。


(内山教授)私が当院に赴任した当初は、新生児を専門とする医師は私一人でしたが、現在は新生児専門医が2名体制となり、専門医取得を目指す専攻医も2名在籍しています。さらに、新生児医療に限らず、血液、アレルギーなど、さまざまなサブスペシャルティ領域の専門医を志す若い医師も着実に増えてきました。今後は、こうした若手医師が安心して研鑽を積める環境をさらに整え、専門性を高めていける体制を充実させていくことが重要です。小児科全体の診療力を底上げし、次世代を担う人材を育成していくことも、地域の基幹病院として当院に求められている、大切な役割の一つです。
司会/安岡 俊雅(株式会社DEPOC代表取締役・医局活性化プロジェクト統括責任者)〈2025年12月8日〉
